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【――新編映画版まどかマギカネタバレにつき閲覧注意――】
 
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 いわゆる九十年代の人間みたいな口調で書く。

 二年前の春、夜中、テレビにかじりついて、いろいろとあって延期になっていた十話と十二話を見ていた。当時から体力も好奇心も枯れていて、こういった趣味の人間としてあるまじきことには、深夜アニメなどまるで見ない種類の人間であった僕には、異例も異例のことだったといえる。世間で話題になっていたからというのもあるけれども、少なくともその程度には気に入っていたのだ、ということは言明しておきたい。

 そのとき、やたらと驚きながら見入っていた。驚いていたけれども、それは意外性への驚きというわけではなかった。僕はとにかく、その美しいことに驚いていたのだった。
 最終話を評して、書いた言葉を思い出す。「論理的に問答無用のハッピーエンド」。

 脚本担当の虚淵氏の作風は、いわゆるキャラクターシンキングに集約されるというし、見ていても実際そう思う。ネガティブに書くと、キャラクターがうごける内は動こうとしないと不自然だし、全員が動こうと思わなくなるまで動いたら、そのときには確実に、全員が全員気力を失って動けなくなっているときか、死んでしまっているときだという。だから氏の物語は、気を入れればいれるだけ、全員が不幸になった時点で終る。そんな地平へ突っ走っていく。
 だから、そうして描かれる物語は美しい。いつだって美しい。だけど必ずアンハッピーエンドで終わる。そこは確かに、甘ったるい僕にとっては不満な点だったのだった。
 当時に語られていた感想も、絶望的な色でうめつくされていたことを覚えている。

 あのとき、暁美ほむらの物語と、鹿目まどかの最後の一手は、その下馬評を覆した。

 まどかマギカは、もともとが叛逆の物語だった。
 願った者たちを必ず不幸にする応報のシステムを覆すための、物語。
 書き終えたあとに、続きを思いつかないと言わしめたのも当然だろう。

 けれど、叛逆の物語は語られた。

 それは、まさに叛逆の物語だった。僕らの見たかったしあわせな幻への叛逆、論理で綴られ守られたはずの美しいものへの叛逆、叛逆により齎された逃れ得ない破滅への叛逆。
 そして、繰り返す逆転の果て、「めでたし、めでたし」で幕を閉じようとする物語への叛逆。

 見ていて得た感想は、ひとつに、強烈に二次創作的だ、ということだった。
 ご都合主義的という言葉も、頭をよぎらなかったとは言わない。
 美しく収束しようとする物語、それ自体をぶち壊しにかかる姿は、いわゆる逆行ものを中心とした二次創作でさんざん見てきたものだ(そういえば、公式の逆行ものもやっていた)。
 けれども、暁美ほむらの「最後の一手」は、それらと決定的に違うところがある。
 ご都合主義的だけれど、ご都合主義的ではない。彼女に敵対的な状況を利用した口プロレス(いわゆる"ルールのあるごっこあそび"で、屁理屈を捏ねて相手を殴り倒す方法を指す)でもって、舞台そのものを覆してのけた。
 そして、みんなが幸せな世界をどうにか保ったままに、彼女は欲するものを手に入れた。

 月並みな話をするならば、彼女はあの世界の、おとぎ話の時代を終わらせた。
 いや、実際のところ「願いをかけて魔法少女は生まれ、絶望の対価として死ぬ」というシステムはそのままなのだろうけれども、測定不能な希望と絶望の相転移を否定した。

 魔法少女が少女の夢だったなら、暁美ほむらはきっと、あの荒野で大人になったのだろう。

 彼女は、願った現実を手に入れた。一人だけで? それはわからない。
 彼女の世界に、いずれは誰かが追いつくのかもしれない。
 魔王となった彼女を、誰かが殺しに来るのかもしれない。
 いずれにせよあの世界には、きっともはや、物語は通じない。

 何を見てもそれを思い出すな、と言われそうだけれども、ウテナの名前が浮かんだことを否定しない。意識してるんじゃないかなあ、と首をひねったこともだ。
 永遠に幸せを繰り返すための箱庭を生み出し、お姫様として眠り、世界を呪い、そして一人だけで大人になった暁美ほむらという彼女。暁という文字もなんだか象徴的に見える。

 いつかきっと、彼女は死ぬだろう。
 だがそれは今ではないし、お前に殺されるわけでもない。

 物語の論理を貫徹した先にある、それはひとつの、ハッピーエンドの答えなのだろう。




 ところで小難しいことを取り除けると、とにかくさやかが可愛かった。
 少し自慢顔になると、むかし、こんなものを書いた。

 『おとぎばなしの園』

 書いた関係上、クライマックスの大立ち回りから"卵の殻が破れた"あとのシーンまで、うわあうわあといいながらにやけっぱなしだったりしたんです。
 特にELLYの使い魔が出てきたあたり、もう、どうしようかと思った。

 あのお人好しの魔王さまが"閉じた"世界の外だと、たぶんあそこに干渉できなくなったオリジナルのさやかが、やきもきしながら状況見てるんだろうなあと思うと、大変微笑ましいですね。

 もっと細かいことを幾つか。

・まどかの願いにつて独白するシーンで、使い魔たちがざくろを食べてたのは、「(ざくろは人肉の味がするという意味での)生贄」と「死者の国に下って春をもたらしたペルセポネ」あたりを重ねあわせてたイメージなのかなと。壁に投げつけていたのは、ざくろがただの果物であるためには、その尊さの理由が忘れられていなければならない、的な謂なのかしら。

・連続変身シーン。途中から気付いたので確認しきれてないんですが、ダンスとスポーツのモーションで構成されてる? スプリントで「誰かに追いつこう」とするさやか、ハードルで「障害を飛び越えよう」とする杏子の挙動を見ると、何か意味が設定されてそう。

・殺陣がたいへんに良かった。テレビ放映~映画総集編に加えてPSP版で彼女たちがやってた殺陣を見事に活かして重ねあわせたモーションの群れは、噛めば噛むほど味が出る。とくに本領発揮していたであろうマミさん(出鱈目殺陣度超高い)に、本編で不吉に使われるばかりだったシーンをすべてかっこよく活用してみせたさやか。

・やっぱり制作陣にさやかは愛されてると思います。あとヘラルドネタがまさか当たってるとは思わなかった。

 そうそう。あとあのラストで、オーフェンを思い出しました。
 世界律を具現化させるとろくなことにならないというのは伝統芸でしょうか。
 そういえば、オーフェンシリーズも近々完結でしたね。


 [201310280000]
 さらに追記。考えれば考えるほどオーフェンと重なってきます。
 「俺は俺だ」の世界結界の破壊から、出発点に立ち戻った結果、旧世界に呪われる魔王となる。
 黒衣の魔術使い、はぐれ旅。
 うん。


 [201310281650]
 もう一点。魔王ほむらの前段階、示唆があったかもという話。
 おりこでキリカが同じ「意図的にジェムを暴走させて魔女化」をやっている。
 それが不可欠の世界だったために、おそらくあの歴史は女神に消された。
(これを最終回後に公開した製作陣の性格の悪さよ!)
 だけれど、魔女化したキリカは、自意識を保っていた疑惑が濃い。
 呪いの出力が足りてたら、キリカも魔王になれてたんじゃないか?
 キュゥべえたちのテクノロジーが補足しそこねていた穴。
 そういえば、キリカも愛の戦士でしたね……。


 [201310282334]
 もうひとつ。二次創作的だな、という話の続き。
 ラスト、魔王ほむらは「本来ならば絶対にありえない」世界を現出させている。
 それは、かつて女神まどかが存在し得ないと断言した世界。
 魔獣の世界ですら達成できなかった、「美樹さやかが生き延びている未来」。

 これが実現できた理由はともかく、構図は「神の持ちあげられない岩」ですよね。
 同じ構造の問題として、唯一神と悪の由来に関する物語。
 誰もが同意する悪を手に入れたことで、女神様は完成したのかもしれないなと。
 あらゆる世界の絶対監視者である(ともいえる)女神まどかは、皮肉な言い方をしたら「世界を彼女の物語から逃さない最大の檻」でもあるわけです。それこそ救済の魔女クリームヒルトや、あるいは彼女の放った矢の象る鳥かごのように。

 魔王ほむらは、そこにひとつ、何かを穿ったのかなと。
 不可知の領域を創りだすこと、限界をつくりだすことで、世界を解き放ったのかもしれない。
 パンドラですね。どうにも。


 ところで、世界律をねじ曲げて実現してのけた「神の目を盗んだ奇跡」がそれって……
 ……青ほむキテル……?



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