マシュが好きである。相棒としてのマシュが好きだし、主人公との絡みを想像するのが好きである。そこ、いやらしい意味ではないから注意してください。ともかくマシュが好きなのだ。そう思っていただきたい。うちのマシュがこんな感じである。スキルは全く育っていない。
さて。マシュだが、弱い弱いと言われる。確かに打撃力にはいささか欠けているところがある。なにしろスキルがすべて防御向けだ。つまり、マシュが弱いと言われている原因は、防御スキルが弱いと言われているところに重なっている。いちおう無敵スキルはあるが、なにしろ再使用のためのCTが長く、わずか10ばかりNPを上げたところで何にもならないという。まあそれはそうかもしれない。
マシュのスキルの一つ、殊更に役立たず扱いされるものに着目してみよう。
防御力を上げる、と書いてある。
能力値を上げるスキルのことを、ゲームではバフという(下げる奴はデバフという)。
ゲームによって大きく評価が別れる種類の能力だ、というのは、コンシューマのRPGを遊んだことがあるならわかるはずだ。
ゲームによって、必須のスキルだったり、レベルを上げて物理で殴ったほうが早いので、使う意味がなかったりする。
では、FGOのバフは弱いのだろうか?
確かに、たとえば《今は脆き雪花の壁》を一回使った程度では、ほとんどダメージが減っていないような気がする。
実際どうなのだろうか?
論より証拠。まず試してみよう。
マシュを含むパーティで、種火超級に突っ込んでみる。
種火を選んだのは、攻撃が単発で、ダメージが見易いからだ。
まず、黎明の神腕から一発殴られて、そのダメージを確かめてみよう。
だいたい1330ほどダメージが出た。
では、《今は脆き雪花の壁》を使うとどうだろうか?
1200ほどのダメージ。だいたい130削れた計算になる。
何千というダメージをやりとりするゲームの130。
確かににこれは焼け石に水だ。
ところで、マシュの宝具《仮想宝具 疑似展開/人理の礎》(以下《人理の礎》)もまた、防御バフ効果がある宝具である。
さすがに宝具となると、スキルよりは強そうな気がする。
しかも何やら、ダメージカット効果なるものまでついている。
これならいけるかもしれない。まずは使って殴られてみよう。
だいたい500削れた計算だ。
宝具でたったの500ダメージ軽減。これは如何なものだろう?
確かに弱体呼ばわりされても仕方がないのかもしれない。
しかし、せっかくだから両方とも使ってみることにしよう。
690。630削れた。130+500だから計算はぴったりだ。
これは、どう考えても弱いのではないだろうか?
しかしまだまだ。まだ防御バフは重ねられる。
ここで、☆2ライダーのゲオルギウスにご出馬願う。
ゲオルギウスは、最初から実用的なターゲット集中スキル(バフと似たような表現だと、ヘイトコントロールなどという)を持っており、確実に相手の攻撃を逸らしてくれる。優秀なサーヴァントだ。攻撃の手数が減らせれば、防御が薄くとも関係なく、こちらの安全も確保できるというものだ。
もちろん僕も愛用していて、そのスキルはそれなりに育っている。
マシュのスキルは1Lvだったが、今度は6Lvだ。強そうである。
しかしまずは、普通に殴られたダメージを見るところからはじめよう。
1630ダメージ。
同じレベルの金腕相手だったが、さっきはライダー。今度はセイバー。
クラスの差か、ダメージはこちらがやや大きいようだ。
(ゲオルギウスがダメージを受けやすい、という可能性もある)
まずは、マシュの《今は脆き雪花の壁》を使ってみる。
1630-1470。160ほど削れた。
続いて、《人理の礎》も使ってみることにしよう。
およそ950。680ほど削れた。やはりダメージが大きい気がする。
さあ、しかしここからが本番だ。サーヴァントを変えたのだ。
ゲオルギウスの《守護騎士》を使ってみよう。
1630-1145。なんと単体で580も削れた!
これは期待が持てそうだ。さらに《今は脆き雪花の壁》を重ねてみる。
1630-960。ぼちぼち悪くはなさそうだ。
さらに《人理の礎》を使ってみよう。
およそ390。1630-390=1240軽減!
これくらい軽減できるなら、ある程度攻撃に耐えられそうだ。
しかしまだだ。マシュは比較的NP効率が高い部類に属する。
宝具の持続時間中にもう一発宝具を撃つのも、十分に可能だ。
さあ。さらにもう一発の《人理の礎》を重ねてみよう。
やりとげた。とうとう、ダメージは0になった。
1630以上軽減されたということだ。
……しかし、ここまでやらないとダメなのだろうか?
何千という値をやりとりするゲームで、わずか1000を削るために?
さすがにこれでは、バフの意味が薄すぎるのではないだろうか?
ここで、また別の登場人物を引っ張りだそう。
ムキムキの神父様の御登壇だ。
礼装、鋼の鍛錬。常時発動の防御バフを付与する礼装である。
防御力、15%アップ。微妙な書き方だ。
先ほどの感じだと、ゲオルギウスの防御力はマシュより低そうに見えた。
15%上げて、そこまで効いてくるだろうか?
まずは一発、殴られてみよう。今度の相手はライダー腕だ。
《守護騎士》の効果と合わせて、なんと850という値が出た。
もとのダメージはわからないが、だいたい400か500くらいは減っていそうだ。
(さきほどの攻撃からすると、まあそんなものだろう)
ではここに、さらにマシュの宝具とスキルを重ねる。
南無三、0ダメージになってくれ!
残念。240ほど軽減しきらなかった。
つまり、鋼の鍛錬より、マシュの宝具は強力だった。ということになる。
……さて。ここまでの茶番を、読んでくれたことに感謝する。
タネを知らないあなたも、何かおかしいと思わないだろうか?
《今は脆き雪花の壁》で軽減されるダメージ量に、何かが見えないだろうか?
1330からは130。1630からは160のダメージが軽減された。
つまり、
きっかり 10% のダメージが軽減された 事になる。
前置きはおいておいて、結論からいこう。
FGOのバフ・デバフは、
すべて「最終値の何%」で効果を発揮する のだ。
鋼の鍛錬で追加される 15% の防御力とは、
被ダメージ 15% 軽減 である。
要するに、マシュのスキルは 10% のダメージ軽減を付与する。
宝具はさらに割合が大きく、ついでに最終的な(%で減算した後の)ダメージをいくらか軽減する効果がある。
攻撃力バフも同じ仕様だ。
10% 強化が入れば、最終的なダメージが 1割 上昇する。
足し算ではない。
カケる数をすべて合計したあと、掛け算する のだ
大したことがない、とお思いだろうか?
相手のダメージが、5000、6000の世界になった場合はどうだろうか?
こちらの与えるダメージが、10000、20000という単位になっていたら?
そうでなくても、こちらのダメージが常時、 20% 強化されていたら?
それを強いと評するかどうかは、まあ、個人の感覚だろう。
しかし僕は、十分以上に有用だし、強力にデザインされていると思う。
ところで、タルカジャとかラクカジャとか好きでしたか?