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ここのところ、めっきりガルパンおじさんと化している。というのも、精神的にきつい時期になると、回復手段としてレイトショーに駆け込む習性があるせいだったりする。そのときおりおりの波長に合った映画が対象になり同じものを何度も何度も観ることになるのだけれども、今回はまさに『ガールズ&パンツァー劇場版』がそれだったという話だ。何年か前には、叛逆の物語に通いつめたりもしていた。

 上映開始からいいあんばいに時間も過ぎて、今でも稼働するブログを持っているから、とにかく感想というやつを書いたほうがいいんじゃないかという気になった。悪しき感想文文化に汚染された身の上なので、旨味の少ない文章となることについては、どうかご容赦を願いたい。また、他の方の口にした感想より着想を得た、というか「ああ、まさにそうだ」となった表現を流用している部分もあり、刺激的な感想を書かれていた皆々様にもよき出会いに感謝を。



 『ガールズアンドパンツァー劇場版(以下GuPdFと略記。あまり略であるかのようにはできていない)』は、非常にわかりやすい「逆境と逆転」の物語である。つまるところはスポ根ものである。この「わかりやすさ」はいい意味であると、どうか了解していただきたい。つまり、僕らが見てきた「たくさんの物語」にどこか似ている。幕を上げた物語は、収まるべきところに収まるように全力疾走していく。これはテレビシリーズの構図もそうだった(これは冒頭の映像、詳しくは少し後に説明する、でスパっと説明される)わけだが、それをしっかり引き継いだ上に、しかるべき場所へ全力でタッチダウンしたような格好になるのである。

 GuPdFはまず、冒頭の「3分ちょっとでわかるガールズアンドパンツァー」から始まる。要するに短めの総集編だが、これがわかりやすい。提示される情報は「戦車道という武芸がある。これは女子の嗜みである」「戦車道名門の娘が勘当どうぜんに親元を放り出された」「勘当娘は自分のスタイルを見つけ、逆境の極みにある弱小校を率い、同門の姉を下して、ついに全国優勝を成し遂げる」「なおチームメイトはどう考えてもアカン感じの曲者ばかり」あたりで、こうして並べてみると何も言っていないにほとんど等しい。戦車道がある、という以外は説明の必要がない内容ばかりである。なにしろどいつもこいつも猛烈なお約束ばかりだ。
 だいたい、逆境からスタートするスポーツものは、チームメイトが奇人変人揃い、それどころかまともな競技経験もない他の部活からの傭兵だと相場が決まっている。相撲部やら柔道部が野球をやっている程度ならまだいいほうで、こととしだいによっては音楽家やら料理人が名を連ねていたりする。主人公が母校を追われているなら、決戦は元母校の最強チームになるし、かつてのチームメイトと雌雄を決することになり、最終的に試合を通じて分かり合わないわけがない。盤石である。しかし、だからこそ通じやすい。とにかく主人公・西住みほ率いる大洗女子は、ドロップアウト組と有象無象をかきあつめ、試合ごとに襲いかかるいくどもの果てしない逆境をくぐり抜け、全国大会に優勝したのである。そして廃校を回避したのである。とにかくそれだけはすぐわかる。こんな文章を読むよりずっと手っ取り早く。
 何しろ紹介映像の最初、おどおどした様子を見せていた西住みほ隊長は、最後のカットでは夕日の中で、妙ちきりんな仲間たちに囲まれて、立派で巨大な優勝旗を、いかにも重そうに掲げているのである。これ以上わかりやすい「進撃と勝利」のサンプルがそうそうあるだろうか。
 これが効く。頭を一気に、そういうものだ、という方向にスイッチできる。二度三度と見ていると、人によってはこの時点で幸福な気分になるというが、まさにそうである。あまり好きな表現ではないが「二次創作を観る目」というのに非常に近い効果が、ここで働いている。漫☆画太郎の『地獄甲子園』が面白いと感じること、あるいはたとえばコントがはじまるとき、第一声が「優勝おめでとうございます!」だったとき、僕らはそこに、本来あるべきだった物語の姿を一気に見て取ることができる。そのイメージを整形するために、必要最低限にして過剰なほど十分な情報を、まずは映像と前説で提示してくれるのだ。

 さて、いよいよ本編が始まると、のっけから飛び込んでくるのは作中(テレビシリーズ時点)随一の奇矯なる令嬢こと、ダージリンの言動である。とりあえず砲撃を受ける戦車の中で、優雅に紅茶を飲み寛いでいる。しかもふざけているとか侮っているとかではなく、完全に素面の様子である。これを見ればだいたい、こいつが魂の底までイギリスにかぶれた強豪であろう、しかも偉いさんであろう、というのは一瞬で理解できるものである。さらに流れるように続く砲撃砲撃また砲撃と戦車の駆動。これがいい音でよく動く。映画館で見ると砲撃音の重さ、駆動音の重厚さもひとしおである。なにしろ文字通り、腹が震えるような音なのだ。つまりこの時点で、本作は「奇矯な女の子たちが真面目にスポーツ戦車をやる」「戦車がいい音を出しやたらとよく動く」という、GuPdFの二本柱を強烈に印象づけてくれる。これはもう、頭から最後までえんえんと貫徹される。
 そしてのんびりと、広場にシートを広げて戦車戦(全国優勝記念のエキシビジョンマッチである!)を観戦し、声援を送る町の人々。試合中にニアミスしても、そこが発砲禁止区域であるなら安心。その態度で、戦車道という僕らからしてみたらトンデモな武道が、きちんと受け容れられているというのがここではっきり確認できる。
 鮮烈な挙動で走り回る戦車、とんでもない戦車アクションの末の試合の決着、そして、お色気というか奇人変人集団しかこの競技やってねえ! というのを見せつけるようなお風呂パートを挟んで、西住みほの前に再度絶望的な、とりつくしまもない逆境が立ちふさがる――と、まあ、ここまでまったく無駄がなく進行する。
(エキシビジョンマッチは、「テレビ版本編からつづけて見た」場合は無駄であるものの、とりあえずこういうことができる選手たちなんだ! というのを映画単品で理解させるためには欠かせない)

 以降、ひたすら大ボラと戦車活劇とやたらよく細かく動く少女と戦車活劇と戦車活劇と戦車活劇と戦車活劇、逆境! 逆転! 逆境! 逆転! 逆境! 逆転! の固め打ちが続く。大ボラで逆境を打破する>それを上回る逆境(もちろんこれも大ボラの類である)が叩きつけられる、をひたすら繰り返し、しかも問題をスポーツで解決するのは、まさにスポ根ものの大王道という感じがある。
 そうだ。スポーツで解決するのだ。回避したはずがふたたび訪れ、しかもすでに強制執行されてしまった廃校! スポーツ(戦車道)の試合で勝てば撤回できる! しかしこちらは高校生、相手はそもそも社会人リーグより強い最強チームのうえ、装備も数も、条件すらも絶望的! そこに間一髪かけつける、戦車で語り合ったかつてのライバルチームのエースたち! 連合チーム設立! それでなんとかなるかと思ったら、相手の腕が凄まじすぎて、ライバルチームのエース選手でも互角に持ち込むのが精一杯! それどころか押しまくられる! ダメ押しとばかりに投入される反則ギリギリの切り札! 大ピンチ! ほとんどコミックリリーフだったキャラの活躍で逆転! 得意な戦いに持ち込めたが相手はやはり強くてまた押し込まれる! お荷物にも見えたメンツから飛び出す、突拍子もないアイデアで逆転! しかし相手のエースが動き出すと、これがまたどうしようもないほど強い! もとライバルたち必死の食い下がりで、最強の敵vs主人公&本編最強ライバルタッグという構図にまでもつれ込み……と、一度動き出せば息もつかせぬ展開で、一気に最後まで走り切る。解放感を得るためにストレスフルなシーン、それはもちろんあるのだが、ギャグ要素や熱い試合模様を交えてクッションにしてくるうえ、適度な長さで次の逆転シーンに繋がるため、かなり「人が失敗している様子」を観るのが苦手な僕でも、まったくストレスを感じずに観ることができた。二時間ぶっ続けでこれをやられる。ぎりぎりで疲労を感じない程度である。ともかく、時間管理をはじめ、バランス感覚が物凄い。

 試合の上で、とにかく見分けがつきやすい、というのも大きい要素だ。劇場版初見の感想を見ても、敵味方どちらがどうかわからなかった、という意見は見られなかった。スポーツを観る上ではこの点いろいろと重要で、どちらがどうなっているかがひと目でわかると、識別の労力が大幅に下がって、観客は試合に入り込みやすくなる。だからユニフォームなど使ったりするわけだけど、残念ながらGuPdFの試合は戦車どうしで、それも大して目立たない装甲色のままである。どこで見分けをつけるか、というのに、まず第一は「雑然とした味方」というのを利用する。主人公のチーム、大洗女子は、戦車までがごちゃごちゃの寄せ集めである。冒頭のエキシビジョンであっても、相手のチームはきっちりと統制が取れたチーム編成であるのに対して、主人公側はいかにも独立愚連隊でございますといわんばかりの混成っぷり。大連合を組んでの決戦でも、チーム寄せ集めvs完成された最強チームという組み合わせで、「なんか変な奴らのほうが主人公」というのがひと目で見て取れる。ついでとばかりに、最強チームの最強チームゆえ圧倒的に統制の取れた動きでも、「統一感のある方が敵」というのを理解しやすくしている。基本的にべたべたのストーリーラインで、唯一ハードルが高い「戦車の見分け」という要素に対しても、初見でもクリアできるガイドラインを用意して待っているという寸法である。

 徹底して、突っ走っていく物語と映像にのめりこめるようなつくりになっているのだ。

 総じて、戦車活劇の描写の大ボラはすばらしく、女の子もかわいい。しかしとにかくなによりも、それらを武器として十分自覚・活用したうえで、「気持よく観るための作劇」ががっちり土台として仕上がっている。だからこそ面白いし、何度も観ようかという気にもなる。しかもどこかの隠れミッキーよろしく、細かい掘り下げや描写も散りばめられており、それを確認したいという気まで起こさせてくれる。これが通用するというか語りぐさになるのも、もちろん、「見ていて気持ちのいい」という要素が突き抜けているからである。ほぼ全編、どこを切っても「また見たい」シーンで出来ているような作品なのだ。

 つまりこうだ。GuPdFは、きわめて出来の良い娯楽大作映画である!

 当たり前の結論を出すために随分回り道をしましたが、結句としてはこれです。

 ガルパンはいいぞ。
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